大手パブリッククラウドサービスである、「AWS」「GCP」「Azure」について比較してみましょう。
「AWS」「GCP」「Azure」とは
Amazon Web Service(AWS)とは
- 大手インターネット通販会社のAmazonが提供しているクラウドサービス
- 2006年と最も早くからサービス提供を開始し、現在シェアNo.1を誇る(2017年の世界シェア51.8% -米調査会社のガートナー発表)
Google Cloud Platform(GCP)とは
- Googleにより運営されているクラウドサービス Google社内で利用されているシステムと同じテクノロジーを使い運営されている
- 2016年サービス提供開始、3つの中で一番歴史は浅い
Microsoft Azureとは
- Microsoft社が提供しているクラウドサービス。アジュールと読む
- アプリケーション環境をクラウド上で運用するPaaS型(Platform as a Service)を重視
コンピューティング能力の比較
仮想マシンを起動する際の起動完了までの時間の比較です
AWS | GCP | Azure | |
起動速度 | 約60秒 | 40秒以内 | 150秒以上 |
一番起動が早いのはGCP、遅いのはAzureという結果になりました。
サービスの比較
では次に主要なサービスを表にしてみます。
AWS | GCP | Azure | |
仮想マシン | EC2 | Compute Engine | Azure Virtual Machines |
PaaS | AWS Elastic Beanstalk | Google App Engine | Azure App Service |
ストレージ | Amazon S3 | Cloud Storage | Azure Blob Storage |
データベース | RDS | Cloud SQL | Azure SQL Database |
ネットワーク | Amazon VPC | VPC | Azure Virtual Network |
機械学習 | Amazon Machine Learning | Cloud AutoML | Azure Machine Leaning Studio |
IoT | AWS IoT | Cloud IoT Core | Azure IoT Core |
基本的なサービスはどこもしっかりサポートしています。
サービスごとに少し詳しくみていくと…
EC2では、仮想マシンの種類が豊富で、CPU、メモリーや容量等で100種類を超えるインスタンスから選べる
Cloud Machine Learningは一般の機械学習に向けたサービスを提供しているだけでなく、アプリを利用するためのインターフェイスまで提供している
などそれぞれに特徴があります。
では逆に、主要ではなくサポートにばらつきがあるサービスをあげてみます。
AWS | GCP | Azure | |
管理不要コンテナ | AWS Fargate | – | Azure Container Instances |
大規模分散PDBMS | – | Cloud Spanner | – |
サーバーの移行 | AWS Server Migration Service | – | Azure Site Recovery |
VPS | Amazon Lightsail | – | – |
スマホアプリ開発 | AWS Mobile Hub | – | – |
機械学習高速化 | – | Cloud TPU | – |
動画プレイヤー | – | – | Azure Media Services |
ごく一部あげてみました。 やはりAWSがかなりのサービスを網羅しており豊富です。 必要である、あったら良いなと思うサービスをサポートしているか事前に確認するといいでしょう。
料金体系の比較
次に料金体系を比較してみます。
AWS | GCP | Azure | |
課金単価 | 秒単位、時間単位 | 秒単位 | 分単位 |
支払方法、通貨 | クレカor請求書(円or米ドル) | クレカ(米ドルのみ) | クレカor請求書(円or米ドル) |
無料使用 | 初回12ヶ月一部無料 | 初回12ヶ月$300分無料 | 初回1ヶ月20,500円分無料および12ヶ月一部機能無料 |
料金に関してAWSはEC2などは秒単位、RDSは時間単位のように主要サービス間でも違いがあります。 Azure,GCPに関しても、環境やサービスによって違いがあります。
料金体系はAWSが1番複雑で、GCPは柔軟性にかけますがその分わかりやすいです。 支払方法においてGCPはまだ選択肢が少ないようです。
メリットとデメリット
以上を踏まえ、それぞれのメリット、デメリットは
Amazon Web Service(AWS)
メリット
- サービスには豊富なメニューがあり、柔軟な対応をすることが出来る
- 複雑な環境構築が可能
デメリット
- サービスが豊富なうえ、設計ノウハウが複雑になので、専門知識が必要
- 費用が変動しやすく、把握、管理が大変
- トラブルの際、サポートを受けることが出来ない
Google Cloud Platform(GCP)
メリット
- 他2つと比べ、コスト効率が良い
- Google提供のサービスの連携に最適
- GmailなどGoogleの各種サービスのプラットホームと同じ高性能で安定したインフラを利用できる
- Googleが使用している機械学習のツールを利用できる
デメリット
- 日本語対応されていないので英語が不得意な人には使いにくい
Microsoft Azure
メリット
- Office365などMicrosoft製品との親和性が高く、 インフラがWindowsベースの会社には導入しやすい
- Active Directoryとの連携に長けている
- パブリッククラウド環境とオンプレミス環境を1つの管理画面で管理できる
デメリット
- 起動が完了するまでの時間が他に比べ遅い
一言でまとめてみると
AWSはメリットにもデメリットにもなりうるほどの多機能さと、実績から感じられる安定さが特徴
GCPはこの中で一番新しいサービスである分、日本への適応度やメニューの豊富さには劣るが、後から出てきた分、コストを安く抑えられていたり、後発参入ならではの恩恵を受けることが出来る
Azureはその開発元の専門で高度な技術によるサービスと、Windowsとの相性が特徴
という結果になりました。
まとめ
「AWS」「GCP」「Azure」、それぞれメリットとデメリットがあり、どれが一番優れているかは一概には言えません。サービスを利用する目的を明確にし、それぞれのサービスの特徴と照らし合わせながら自分にあったクラウドサービスを選ぶことが重要です。