「Amazon WorkSpaces」はAmazonの提供するクラウドインフラ上に仮想デスクトップを構築し利用できるサービスです。
WorkSpacesの特徴・メリット
WorkSpacesには以下の特徴があります。
安価に導入できる
WorkSpaces最大のメリットは価格です。企業が自社ネットワーク内に仮想デスクトップ環境を構築するには莫大な設備費と維持費がかかりますが、AmazonはAWS持ち前のインフラを活かして安価に提供しています。AWSの管理画面から即日で利用できるため、超短期間で導入できます。
WorkSpacesの料金については下記に詳しく掲載しています。
PC環境の構築や破棄を複数台一括で行える
WorkSpacesは数十〜数百の仮想デスクトップ環境を一度に構築・破棄することができます。社員の入退社などに伴うPCの調達・破棄に関わる煩わしい作業をカットすることができます。あらかじめ特定のアプリケーションをインストールしておくこともでき、同一のPC環境を簡単に複製できます。
データのセキュリティ向上
仮想デスクトップのデータはAmazonのセキュアなサーバー内で処理・保存されます。ハードにデータが残らないため、ハードの紛失・盗難があった場合も情報漏えいのリスクを下げることができます。
タブレットからでもデスクトップ操作できる
WorkSpacesのクライアントは様々なデバイスに対応しており、iPadやAndroidタブレットからでもWindows/Linuxデスクトップを操作することができます。
WorkDocsでのファイル共有
WorkSpacesの1アカウントごとに、AWSのファイル共有サービス「WorkDocs」のストレージが50GBぶん無料で付いてきます。同じネットワーク内の仮想デスクトップ同士のファイル共有に利用することができます。
WorkSpacesの利用シーン
仮想デスクトップを一括してすぐに構築・破棄できる特性は、例えば以下のようなシーンで便利だと考えられます。
🏠 在宅・出張などリモートワークでの利用
場所を問わず同じ環境で業務ができ、データもローカルPCに残さないのでリモート勤務でもセキュリティを保てます。様々なワークスタイルに対応しやすくなります。
📚 教育機関での利用
教育機関では1台のPCを複数人で使い回すことも多く、生徒ごとにWorkSpacesのアカウントを配布することでデータのセキュリティやプライバシーを守れ、生徒も自宅など好きな環境で学習用デスクトップを利用できます。年度ごとの数十〜数百の生徒の出入りにもWorkSpacesなら簡単に対応できます。
🕓 臨時の雇用やパートタイマー従業員の利用
シンクライアントから一時的な作業をする従業員ならば、従量課金プランの選択でより安価に使うこともできます。
WorkSpacesの料金
WorkSpacesはサービス自体の利用料金に加えて、仮想デスクトップ上でインターネットを使った場合に通信料も発生します。その両方についてご紹介します。
※以下料金は2018年7月現在の東京リージョン公式価格を参考にします。
基本料金
WorkSpacesはAWSの中でもユニークな料金形態を取っており、月額料金と時間料金の2つの形式から選択できます。
バンドル | 月額料金 | 時間料金 |
---|---|---|
バリュー | $34 | $10 /月 + $0.3 /時 |
スタンダード | $45 | $10 /月 + $0.4 /時 |
パフォーマンス | $72 | $10 /月 + $0.74 /時 |
パワー | $108 | $10 /月 + $0.89 /時 |
グラフィックス | – | $30 /月 + $2.41 /時 |
月額料金は固定料金で仮想デスクトップを1ヶ月24時間無制限に利用できます。
時間料金は少額の月額料金+従量課金という形です。
時間料金はフルタイムで使うと割高ですが、使う日・使う時間の限られる非常勤の職員用などは時間料金で使い分けることができます。
1ヶ月80〜90時間以上使うなら月額料金の方がお得です。
通信料金
WorkSpacesの仮想デスクトップで発生する通信料金は下記図のようになっています。
クライアントPCからWorkSpacesへの通信
PCからインターネットを介してWorkSpacesの仮想デスクトップへ接続するための通信に料金はかかりません。 (通常のインターネット料金は別途かかります。)
仮想デスクトップ上でインターネットを利用した時の通信
仮想デスクトップ上でブラウザを開いたりメールの送受信をする時に発生します。
- データの受信:無料
- データの送信:有料
データ送信時のみAWS EC2の通信と同額の通信料が発生します。
データ送信の料金は以下のようになっています。
最初の1GBまで | 無料 |
---|---|
1GB〜9999GBまで / 月 | $0.14 / GB |
1TB〜40TBまで / 月 | $0.135 / GB |
例えば毎日100MB(3GB/月)のデータ送信をした場合、 月$0.28 (30円) になります。毎日大容量ファイルを送信しなければそこまで達しません。
利用シーンにもよりますが、ビジネスユースならば仮想環境1つあたりの通信料は月50円(4GB分/$0.42)と見積もっておけば充分と考えられます。
さいごに
今回は Amazon WorkSpaces の特徴や料金についてご紹介しました。
従来、自社独自の仮想デスクトップ環境を構築しようと思えば数百〜数千万円の初期投資のほか、導入までの期間面、また維持のためのコストも大きいものでしたが、WorkSpacesはわずか数千円から即日で始められる簡便性が最大の強みです。
仮想デスクトップを検討される方にはぜひおすすめしたいサービスです。